私が在宅医療の現場で、訪問リハビリの取り組みを始めたのは平成4年のことです。当時は、ほとんど在宅でのリハビリテーションは行われておりませんでした。
その頃、高齢者を中心とする障害を持った方々の問題点として、日常生活の場面で、本当はできるであろうと思われることの「しない」、しないから「できなくなる」という悪循環によって作られた「能力不能」や「寝たきり」の方が多くおられました。また、在宅医療中は元気がなくなる原因が沢山あって、気力が低下するとリハビリをしてもなかなか訓練効果があがらないケースも多くありました。
専門的な知識や技術を提供するだけでは、ダメだということがわかったのです。
つまり、在宅ケアでもっとも大切なこととして、家族も含めてサービスを利用される方々がいかに「その気」になっているかが決め手になるといっても過言ではありません。言い換えれば、我々ケアスタッフは「その気」になっていただける様に支援できるかどうかで、以後の生活が大きく左右される事になるのです。
「その気」つまり「心」の問題がとても大切だということです。
在宅ケアは、まさに「心を創る」ことを忘れてはならないのです。
これが創心會の社名の由来です。
私は地域の中で取り残され、機能が低下していった方々に出会う度に、在宅医療の大切さに気づかされました。真の訪問看護ステーションのあるべき姿の追求と実現、そしてリハビリテーション理論に基づいた自立支援的在宅ケアシステム作り、これを私の人生の目標に掲げています。
その目標は、創心會の経営目標へと引き継がれています。「予防から終末期までのケアを住み慣れた地域で完結するために、リハビリテーション理論に基づいた包括的本物ケアシステムを構築し、発信し、拡大ケア革命を起こすこと」私たちは、世代を越えて誰もが安心して暮らせる社会創りに挑戦します。